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常緑樹と落葉樹の剪定は何が違う?正しい時期と切り方をプロが解説

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庭木を健康に保ち、美しい姿を維持するために欠かせない「剪定(せんてい)」。
しかし、ハサミを入れるとき、「本当に今切っていいのかな?」「切りすぎて枯れないかな?」と不安になったことはありませんか?

常緑樹と落葉樹では生育のリズムが全く異なるため、同じ感覚で切ってしまうと木が弱ってしまいます。
この記事では、常緑樹と落葉樹の決定的な違いと、それぞれに適した剪定のタイミング・方法をプロの視点でわかりやすく解説します。

剪定

まず知りたい!常緑樹と落葉樹の違いとは?

剪定において最も重要な違い、それは「休眠期があるかどうか」です。

特徴 常緑樹(じょうりょくじゅ) 落葉樹(らくようじゅ)
葉の様子 1年中、緑の葉がついている 冬になると葉が落ちる
成長速度 比較的ゆっくり 成長が早いものが多い
剪定への耐性 強く切るとダメージが残りやすい 休眠期なら強く切っても回復する
代表的な木 シマトネリコ、ソヨゴ、キンモクセイ、ツバキなど モミジ、サクラ、ハナミズキ、ウメなど

落葉樹は冬に葉を落として休眠しますが、常緑樹には明確な休眠期がありません。

人間で例えるなら、落葉樹の冬は「熟睡中」なので手術(剪定)しても痛みを感じにくいのに対し、常緑樹は常に「活動中」なので、寒さや強い手術(強剪定)が大きなストレスになる、とイメージしてください。

常緑樹は「切りすぎ厳禁」!美しく保つ時期とコツ

1年中葉を茂らせている常緑樹は、葉っぱで光合成をして栄養を作っています。
そのため、葉を減らしすぎると体力を奪われてしまいます。

最適な剪定時期

  • 春(4〜6月) 新芽が落ち着き、これから暖かくなる時期。

  • 秋(9〜10月)真夏の暑さが和らぎ、冬が来る前の軽めの手入れ。

⚠️注意
真夏や真冬の剪定は避けましょう。真夏は葉焼けや水切れを起こしやすく、真冬は寒さで傷んで枯れ込みの原因になります。

切り方のポイントは「透かし剪定」

常緑樹の剪定は、大胆に形を変えるのではなく、「今の形を整える」のが基本です。

  1. 「透かす」ように間引く
    枝葉が混み合っている部分を減らし、内側に光と風を通すように切ります。
  2. 太い枝のバッサリ切りは避ける
    樹形を大きく崩すような強剪定は、木にとって大きな負担です。少しずつ整えましょう。
  3. 自然樹形を活かす
    人工的に角刈りにするよりも、その木が持つ自然な丸みやラインを活かすほうが、木への負担も少なく美しく仕上がります。

落葉樹は冬が勝負!大胆な剪定ができる理由

冬に葉を落として幹や根に栄養を蓄えている落葉樹は、この時期が剪定のベストシーズンです。

最適な剪定時期

  • 基本は冬(12〜2月)
    葉が落ちている「休眠期」は、木のエネルギー消費が最小限。
    太い枝を切ってもダメージが少なく、春になると勢いよく回復します。

切り方のポイント

葉がない冬は、枝ぶりが一目瞭然です。この時期に、将来の樹形をイメージしてしっかり手入れをします。

  1. 不要な枝を元から切る
    枯れた枝や、絡まりあっている古い枝を優先的に取り除きます。
  2. 「切り戻し」でサイズダウン
    大きくなりすぎた場合、枝の付け根や分岐点まで戻って切ることで、ひと回り小さく仕立て直すことが可能です。

🌸花が咲く木(花木)は要注意!
アジサイやツツジなど、夏〜秋に「来年の花芽」を作る木を冬にバッサリ切ると、花芽ごと切り落としてしまいます。

  • アジサイなど→花が終わった直後(7月頃)に剪定

  • ウメ・サクラなど→冬の剪定は、花芽を確認しながら慎重に

剪定で起きる「よくある失敗」と防ぎ方

  • 失敗1:翌年、花が咲かなかった
    → 原因: 花芽ができる時期(夏〜秋)の後に、枝先を全て刈り込んでしまったため。
    対策: 花木は「花が終わったらすぐ」に剪定するのが鉄則です。
  • 失敗2:枝先が枯れてしまった
    → 原因: 常緑樹を真冬に切ったり、切り口が雑だったりしたため。
    対策: 寒い時期の常緑樹剪定は控え、太い枝を切った場合は「癒合剤(ゆごうざい)」を塗って切り口を保護しましょう。
  • 失敗3:一度に切りすぎて木が弱った
    → 原因: 早く小さくしようとして、葉をなくすほど強剪定してしまった。
    対策: 一気に切らず、数年かけて徐々にサイズを落としていくのが安全です。

これだけ覚えればOK!剪定の基本3ステップ

常緑樹でも落葉樹でも、ハサミを入れる手順は同じです。
迷ったらこの順番で進めてください。

  1. 不要な枝(忌み枝)を取り除く
    まずは「枯れ枝」「ひこばえ(根元から出る枝)」「内側に向かって伸びる枝」など、明らかに不要な枝を根元から切ります。これだけでかなりスッキリします。
  2. 混み合った部分を間引く
    枝同士が重なっている場所は、細い方や勢いのない方を切ります。風通しを良くするイメージです。
  3. 全体のバランス(輪郭)を整える
    遠くから木を眺め、飛び出している枝先を整えます。必ず「外向きの芽」の上で切ると、次の枝が外へ広がり、格好良い樹形になります。

樹種の違いをつかめば剪定はずっとラクになる

剪定は難しいと思われがちですが、樹木の特性を知れば、決して怖いものではありません。

  • 常緑樹 春と秋に整える(寒がりでデリケート)

  • 落葉樹 冬の休眠期にしっかり切る(冬はぐっすり眠っている)

この基本さえ押さえておけば、庭木は健康に育ち、毎年美しい緑や花を楽しませてくれます。

もし「木が大きくなりすぎて自分では手に負えない」「庭木の手入れだけでなく、お庭全体をトータルで整えたい」とお考えの際は、無理をせずプロにご相談ください。

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