庭のシンボルとなる落葉樹は、景観を大きく左右する存在です。庭の改修や日当たり調整のため「場所を移したい」と考える方も多いでしょう。
しかし、移植は樹木に大きな負担がかかるため、時期と手順を間違えると枯れるリスクがあります。
この記事では、大切な落葉樹を枯らさないための最適な移植時期から、移植成功の鍵となる「根回し」「掘り取り」「植栽」の正しい流れを解説します。

落葉樹の移植は「冬の休眠期」に行う
落葉樹の移植に最適なのは、冬の休眠期(落葉後)です。
最適な時期の理由
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根へのダメージが最小限
葉がない状態は水分の蒸散が最小限に抑えられ、根へのダメージが最も小さくなります。 -
再生に集中できる
地上部の活動が止まるため、木は根の再生に集中できる時期です。
タイミングの目安
11月〜2月頃(※地域によって差があります)
避けたい時期
芽吹き直前、開花時期、真夏の高温期は、木に大きな負担がかかるため避けてください。
移植成功の鍵を握る「根回し」の重要性
落葉樹の移植を成功させる最大のポイントは、移植前の「根回し(ねまわし)」という準備段階にあります。
根回しとは?
植え付け前に、移植する範囲の根を事前に切っておき、新しい細かな根を発生させておく作業です。
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効果
根回しをしておくと、移植時の根量が確保でき、その後の活着率(根付く確率)が格段に向上します。 -
理想の時期
移植の数カ月~1年前(落葉前〜落葉期)
若木の場合は1ヶ月前~3ヶ月前でも対応できるケースがあります。
掘り取りのコツ
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根鉢は幹元の直径の3〜5倍の直径を目安に、大きめに掘り取ります。
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掘り取り後は、根鉢を麻布や不織布で丁寧に保護し、乾燥させないように注意してください。
この丁寧さが成功率を左右します。
植え付け手順
掘り取りと同じくらい大切なのが植え付け作業です。以下の手順で丁寧に行いましょう。
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植え穴の準備
穴は根鉢の1.5倍の大きさに掘り、底に腐葉土や改良材を入れ、周りの土とよく混ぜて排水性・通気性を高めます -
植え付け
木の正面を確認して植え付けたら、土を戻し軽く踏み固めます。 -
支柱で固定
植え付け後すぐに支柱でしっかりと固定します。風による揺れは活着の最大の敵です。 -
灌水(かんすい)
最後に水をたっぷりと与え、根と土を密着させます。
移植後のケアが成否を決める
移植作業が無事終わっても油断は禁物です。
移植後の管理こそが、木が根付く(活着する)か否かを決定づけます。
管理のポイント
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水管理
最初の1〜2ヶ月は、過湿にも乾燥にもならないよう慎重に水を与えます。 -
剪定
枝の量を減らす「剪定」を行い、葉からの水分の蒸散量を減らします。これにより、根の負担が大幅に軽減されます。 -
防寒対策
特に鉢植えの場合は、寒風対策やマルチング(根元の保護)を徹底し、根を保護します。
成功の鍵は準備とアフターケア
落葉樹の移植成功率は、「冬の休眠期」+「根回し」+「適切な植栽手順」が揃うことで大きく向上します。
逆に、移植が失敗する原因の多くは、時期の間違いや、根回し・灌水不足といった基本手順の省略にあります。
大切な庭木を守るため、準備 → 掘り取り → 植栽 → アフターケアまでの一連の工程を丁寧に行いましょう。
大切な庭木を守るために、プロにご相談ください
落葉樹は種類や樹齢によって移植の難易度が大きく異なります。
グリーンワークスでは、プロの職人が木に負担の少ない移植作業を行っています。
大切な庭木の移植をご検討の際は、まずはお気軽にご相談ください。