ミニトマトとプチトマトの違いは何ですか?
お弁当の彩りや隙間埋めに便利なミニトマトは、ミニトマトではなく「プチトマト」と呼ばれることがあります。色や大きさも同じミニトマトとプチトマトですが、この二つはどこが違うのでしょうか。
今回は、ミニトマトとプチトマトの違いについてご紹介します。
トマトの歴史と種類
南アメリカを原産とし、大航海時代以降ヨーロッパに広まったトマトはヨーロッパでは「毒がある」と考えられ、観賞用として扱われてきました。しかし、しばらくしてイタリアの貧困層の間でトマトを食べてみようという人が現れ、毒がないことがわかるとヨーロッパでも食用として広がっていきます。
原種のトマトは小さなミニトマトでしたが、食用として広まるにつれて品種改良が進み、18世紀ごろには現在のようなトマトが栽培されるようになったといわれています。
トマトは現在も品種改良が盛んにおこなわれており、黄色やオレンジ、緑など赤以外のトマトや、フルーツトマトと呼ばれる高糖度トマトなども登場していますが、大きさ・重さで種類分けすると「大玉」「中玉(ミディトマト)」「ミニトマト」「マイクロトマト」の四つに分類されます。
大玉と中玉は生食用と加熱用の両方に使われるトマトです。中玉はトマトソースなどの加工用品種が多いので、スーパーなどで見かける機会は意外と少ないかもしれません。
マイクロトマトとミニトマトは主に生食用として使われます。
プチトマトは品種名
大きさ・重さでの区分には「ミニトマト」は含まれていますが「プチトマト」は含まれません。
実は、プチトマトはミニトマトのような区分名ではなく、ミニトマトに含まれるトマトの品種だからです。
トマトが日本に伝わったのは江戸時代ごろ。当初はヨーロッパ同様「鑑賞用」として扱われていました。
時代が下って大正時代になると洋食文化の広まりからトマトが食用されるようになり、19世紀から日本でも食用のトマト栽培が始まり、トマトソースやトマトケチャップなどトマトを使った商品なども広まっていきます。
日本でトマトが普及するようになった当初、トマトといえば大玉や中玉が中心で、ミニトマトは流通量も少なくあまり一般的ではありませんでした。
しかし、高度成長期に入って生活の場が一戸建てからマンションやアパートに移り変わると、ベランダで育てられるトマトとしてミニトマトの需要が増え始め、そのニーズにこたえる形でタキイ種苗が1975年に「プチトマト」という名称のミニトマト品種を発売。従来のミニトマトよりも酸味が少ないことなどから大ヒットとなり、プチトマトを含むさまざまなミニトマトが普及するきっかけとなりました。
現在は「ミニトマトの愛称」として定着。
ミニトマト普及の火付け役となった「プチトマト」ですが、ミニトマトの品種改良が進んで高糖度のミニトマトの品種が登場したことなどから、2007年に販売を終了し、ミニトマト品種としての歴史に幕を閉じます。
しかし、ミニトマトの代表品種であったプチトマトは「スーパーで見かける小さなトマト」と強く記憶され、現在では商品としてはなくなったものの、「ミニトマトの愛称」として定着しています。
まとめ
プチトマトはミニトマトの品種名であり、トマトの区分である「ミニトマト」とは本来別のものです。しかし、栽培・流通がなくなった現在は「ミニトマトの愛称」としてプチトマトという言葉が使われています。
そのため、現在の「プチトマト」は、ミニトマト全般のことをさしており、そういった意味では「ミニトマトとプチトマトは同じもの」といえるかもしれません。