コチョウラン、シンビジウム、デンドロビウム…。
「蘭(ラン)」は、その気品ある美しさと花持ちの良さから、ギフトとしても人気の高い植物です。
しかし、いざ家で育ててみると、 「水をあげているのに元気がない」 「花が終わったら、そのままでいいの?」 「冬に枯らしてしまった」 というお悩みもよく聞かれます。
実は、蘭を枯らしてしまう最大の原因は「お世話のしすぎ(水のやりすぎ)」にあります。
この記事では、蘭の性質を理解し、初心者の方でも失敗せずに長く花を楽しむための管理方法を、プロの視点でわかりやすく解説します。

蘭は「環境づくり」が命!まずは性質を知ろう
蘭の管理を難しく感じるのは、一般的な草花と少し性質が違うからです。
多くの蘭は、もともと熱帯のジャングルで、高い木の上に着生して育っています。
そのため、以下の3つの環境を好みます。
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木漏れ日のような優しい光(直射日光は苦手)
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根元の通気性(常にジメジメしているのは苦手)
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空気の流れ(蒸れは天敵)
つまり、土に根を張る植物と同じ感覚で毎日水をあげたり、強い西日に当てたりするのはNG。
「ジャングルの木陰」をイメージして環境を整えるのが成功の第一歩です。
失敗しない水やりのコツ
蘭の管理で最も多い失敗は「水のやりすぎによる根腐れ」です。
蘭の根はスポンジのような構造をしており、空気を好みます。常に濡れていると窒息して腐ってしまうのです。
水やりのタイミング
カレンダーで決めるのではなく、以下のサインを目安にしてください。
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鉢を持ち上げて「軽い」と感じたとき
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水苔やバークが白っぽくカラカラに乾いているとき
やってはいけない「NG水やり」
× 毎日ちょこちょこ水やり→ 常に湿って根腐れを引き起こす原因になります。
× 花や葉に水をかける → シミや病気の原因になります。株元に与えましょう。
× 冬の夜の水やり → 冷え込みで根が傷みます。冬は暖かい午前中に。
プロの目安
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コチョウラン: 1週間〜10日に1回(冬は2週間に1回程度)
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シンビジウム: 週1〜2回程度(比較的水を好みます)
※あくまで目安です。期間で決めるより、乾いたらたっぷりと水をあげるという流れが前提になります。
蘭が喜ぶ「置き場所」
蘭にとって快適な場所は、人間にとっても快適な場所であることが多いです。
1. 光:レースカーテン越しがベスト
「明るい日陰」を好みます。直射日光は葉が黒く焼ける「葉焼け」の原因になるので避けましょう。
2. 風:エアコンの直風は厳禁
空気の流れは大切ですが、エアコンやヒーターの風が直接当たると乾燥で弱ってしまいます。
直接風が当たらない、空気が循環する場所を選んでください。
もっと長く楽しむ「冬越し」と「肥料」のポイント
●肥料は「控えめ」が正解
蘭は少ない栄養で育つ植物です。
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春〜秋(成長期) 薄めた液体肥料を2〜3週間に1回程度。
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冬(休眠期)一切与えません。根が活動していない時に与えると逆効果です。
●冬越しの温度管理
種類によって寒さへの耐性が異なります。
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コチョウラン:15℃以上推奨(寒がりです。リビングなど暖かい場所へ)
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デンドロビウム:5〜10℃(比較的寒さに強い)
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シンビジウム:0〜5℃(寒さに強く、玄関などでも耐えます。ですができるだけ5℃以上を保つと安心です)
夜間だけ、鉢を発泡スチロールに入れたり、段ボールや新聞紙で囲ったりするだけでも、冷気から根を守ることができます。
よくあるトラブル|花が咲かない原因は?
「株は元気なのに、花が咲かない…」という場合、主な原因は以下の2つです。
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光不足
葉が濃い緑色になりすぎている場合は、もう少し明るい場所(レースカーテン越し)へ移動させてみましょう。 -
温度不足
花芽を作るために必要な温度が足りていない(または一定の低温に当たっていない)場合があります。
「構いすぎない」が蘭を美しく保つ秘訣
蘭は繊細に見えて、実は環境さえ合えばとても生命力の強い植物です。
「水やりは乾いてから」「置き場所は明るい日陰」 この基本さえ守れば、毎年美しい花を咲かせてくれます。
ぜひ「少しドライな付き合い方」で、蘭との暮らしを楽しんでみてください。