一覧に戻る

観葉植物の剪定時期はいつ?

お部屋に癒しを与えてくれる観葉植物。元気に育てるためには水やりや日当たりも大切ですが、定期的な「剪定(せんてい)」こそが、植物を美しく健康に長持ちさせる秘訣です。

 

「枝がひょろ長く伸びて形が崩れてきた」「下のほうの葉が落ちてスカスカになってしまった」といったお悩みは、剪定が必要なサインかもしれません。

 

本ブログでは、人気の観葉植物「ゴムの木」「パキラ」「モンステラ」を例に、なぜ剪定が必要なのか、最適な時期はいつか、そして基本の切り方から剪定後の管理まで、失敗しないコツを解説します。

観葉植物の剪定とは?

剪定と聞くと「枝を切るのはかわいそう」と感じるかもしれませんが、実際は植物の健康を保つために欠かせない「お手入れ」です。主な目的は、伸びすぎた枝をカットして「樹形を整える」ことです。それと同時に、枝や葉が重なり合って密集するのを防ぎ、「風通しと日当たりを良くする」狙いもあります。風通しが悪いと、内部が蒸れて病気や害虫の原因になったり、光が届かずに下の葉が枯れたりします。

 

もし観葉植物を一切剪定しないと、光を求めて上へ上へとひょろ長く伸び、根元に近い下の葉には光が当たらず落ちてしまいます。剪定は、植物の健康を維持するために必要な作業なのです。

剪定に最適な時期(4月~6月)

剪定で最も重要なのが「時期」です。間違った時期に切ると、回復できずに枯れてしまうこともあります。

基本は「春から初夏(4月~6月)」

観葉植物の剪定は、4月から6月がベストシーズンです。これは植物の「成長期」にあたるためです。気温が20℃前後で安定し、植物が最も活発に成長するこの時期なら、切り口からの回復が非常に早く、すぐに新しい芽が伸びてきます。

秋(9月~10月)は軽い手入れのみ

夏の暑さが和らぐ9月から10月も、剪定が可能な時期です。 ただし、この時期に行うのは、あくまで「形を整える程度の軽い剪定」に留めましょう。夏に伸びすぎた枝先を少し切る程度です。

 

これから迎える冬の前に、幹を太く切るような「大幅な切り戻し」を行うのは避けてください。寒くなるまでに新しい芽が育ち切らず、切り口がうまく回復できないまま冬を迎え、枯れ込む原因になります。

剪定を「避けるべき時期」

以下の時期は、植物に大きな負担がかかるため、剪定は原則として避けてください。

 

  • 冬(11月~3月)
    ほとんどの観葉植物が成長を止める「休眠期」です。この時期に切ると、傷が回復せず、新芽も出ず、春まで体力を消耗し続けてしまいます。

  • 真夏(7月~8月)
    人間が夏バテするように、植物も高温多湿で弱りがちです。この時期に切ると、切り口から雑菌が入って腐ったり、蒸れによって株全体が弱ったりする原因になります。

観葉植物の基本的な剪定方法

どの植物にも共通する、剪定の基本的な考え方と道具をご紹介します。

切る場所の目安

どこで切るかによって、その後の育ち方が変わります。多くの植物は、葉の付け根や、幹の途中にある「節(ふし)」(少し膨らんだ部分や模様がある場所)に、新しい芽の元を持っています。剪定する際は、必ずこの節や新芽の5mm〜1cmほど上で切ります。節を無視して幹の途中で切ると、そこから芽が出ず、残った部分が枯れ込むことがあります。

 

また、切り口のすぐ下にある芽が次に伸びる芽になります。そのため、「外側」に向いている芽の上で切るのが基本です。内側に向いている芽の上で切ると、新しい枝が内向きに伸びてしまい、結局また風通しが悪くなります。

使う道具

  • 剪定バサミ(園芸バサミ)
    切れ味の良いものを選びましょう。ハサミの刃には目に見えない雑菌が付着しているため、切る前に必ず刃をアルコール(消毒用エタノールなど)で拭き、病気が切り口から感染するのを防ぎます。

  • 保護剤
    ゴムの木やパキラなど、幹が太い植物を剪定した際、切り口に塗る「保護クリーム」のようなものです。水分の蒸発や雑菌の侵入を防ぎ、再生を助けます。必須ではありませんが、あると安心です。

【植物別】剪定時期と切り方のコツ

ゴムの木(ウンベラータなど)

  • 剪定時期:4月〜6月、または9月

  • 特徴:非常に生命力が強く、再生力が高いため、初心者でも剪定しやすい植物です。

  • 切り方: 理想の高さや形をイメージし、枝や幹にある「節」の少し上で切ります。切ると白い樹液が出てきます。これは床に垂れると取れにくく、肌が弱い人はかぶれることがあるため、手袋をして作業し、樹液はすぐにティッシュなどで優しく拭き取ります。枝の先端を切ると、その下にある節から脇芽が伸びて、こんもりとした樹形になります。

パキラ

  • 剪定時期:5月〜7月(生育が最も旺盛な時期)

  • 特徴:ゴムの木と同様、とても丈夫な種類です。ひょろ長く伸びすぎた幹を、思い切って切り戻しても元気に新芽を出します。

  • 切り方: 幹の途中にある「節(古い葉が落ちた跡)」を残すように意識して切ります。どこで切っても芽吹きやすいですが、節があった方が確実です。切った枝は「挿し木」として再利用できます。

モンステラ

  • 剪定時期:5月〜8月(気温が20℃以上で安定する時期)

  • 特徴:茎や、茎から出る「気根(きこん)」と呼ばれる根からでも再生しやすい、たくましい植物です。

  • 切り方: 伸びすぎた茎や、バランスを崩している葉の軸を、「節」の上で切ります。黄ばんだ葉や傷んだ葉は、軸の根元から切って整理します。大きくなりすぎて手に負えなくなった場合は、株元からバッサリ切って仕立て直すことも可能です。

剪定後の管理方法

置き場所

剪定直後は、植物も体力を消耗しています。強い直射日光はストレスになるため、レースカーテン越しの「半日陰」で管理します。また、切り口を早く乾かし、雑菌の繁殖を防ぐためにも、風通しの良い場所に置きましょう。

水やり

剪定によって葉の量が減ると、植物が消費する水分量も減ります。今までと同じペースで水やりをすると、根腐れの原因になります。剪定後1週間程度は水やりを控えめにし、土がしっかり乾いてから与えるようにします。

新芽が出てきたら

切り口の近くから小さな新芽が確認できたら、回復のサインです。徐々に水やりのペースを戻し、明るい場所に移します。新しい芽が成長を始めたら、「液体肥料(液肥)」を与えて成長を助けてあげましょう。

よくある失敗と対処法

剪定後に枯れた・再生しない

主な原因は、冬の「休眠期」に剪定したことや、一度に切りすぎたことです。剪定は必ず成長期(春〜初夏)に行い、一度に切る量は多くても全体の3分の1程度までに留めましょう。

新芽が出てこない

芽が出る元となる「節」を無視して、節と節の間で切ってしまうと新芽が出ません。必ず「節」や「芽」の少し上で切るように意識しましょう。

切り口が黒くなった・腐った

ハサミから雑菌が侵入した可能性があります。ハサミは使用前に必ずアルコールなどで消毒する習慣をつけましょう。太い切り口には「保護剤」を塗ると安心です。

まとめ

観葉植物の剪定は、決して難しい作業ではありません。正しい時期と、いくつかの基本ルールさえ守れば、植物は必ず元気な姿で応えてくれます。

 

剪定の最適な時期は「春から初夏(4月~6月)」です。ゴムの木やパキラ、モンステラは再生力が強い植物ですが、切る場所は「節」の上を意識し、ハサミは必ず「消毒」してください。そして、切った後は「半日陰」で「水やり控えめ」に管理することが再生の鍵です。

 

伸びすぎた枝をカットして、お部屋にも植物自身にも、スッキリとした風を通してみませんか?

 

そのほかの「よくある質問」はこちら