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芝生を一年中緑に保つ方法は?オーバーシードってどういう作業?

芝生を一年中緑に保つことは、庭や公園の美しさを維持するために多くの人が目指す目標です。しかし、日本の四季では、季節ごとに芝生の状態が変わり、夏芝と冬芝で適した時期が異なるため、年中緑の芝生を維持するのは容易ではありません。そんな中、オーバーシードという方法を用いることで、冬でも緑の美しい芝生を楽しむことが可能です。本記事では、オーバーシードの方法やそのメリット、注意点について詳しく解説します。

 

1. オーバーシードとは?

オーバーシードとは、既存の芝生の上に新たな種を蒔く作業のことを指します。この方法は、芝生の補修や種の種類を変更する際にも用いられますが、最も一般的なのはウインターオーバーシードです。これは、夏に成長する夏芝を秋に刈り取り、その上に冬芝の種を蒔くことで、冬の間も緑の芝生を楽しむための作業です。

また、逆に春に冬芝を夏芝に切り替える作業のことをトランジションと呼びます。芝が成長し始める4月頃に、冬芝を短く刈り取り、夏芝を再び成長させることで、春から夏にかけて緑を維持する方法です。

 

2. 夏芝と冬芝の違い

芝生には、夏芝冬芝の2種類があり、それぞれに異なる特性を持っています。この特性を理解することで、オーバーシードを効果的に行い、一年中緑の芝生を維持することが可能になります。

2.1 夏芝

夏芝(暖地型芝)は、夏の高温でよく成長しますが、冬になると休眠状態に入り、枯れて茶色くなってしまいます。代表的な夏芝としては、以下の品種があります。

  • ティフトンリビエラなどのギョウギシバ(バミューダグラス)は、生命力が強く、夏の暑さに耐えることができます。
  • 高麗芝も夏芝の一種ですが、オーバーシードを行う際には高度な技術が必要です。特に手入れが不十分だと、徐々に衰退していく傾向があります。

 

2.2 冬芝

冬芝(寒地型芝)は、冬の低温でも成長し、夏には暑さで弱まる特性があります。オーバーシードに適した冬芝の代表的な品種としては、ライグラス(ホソムギ類)があります。ライグラスは、夏芝への切り替えが容易であるため、ウインターオーバーシードに最もよく使用されます。

 

3. オーバーシードの作業手順

オーバーシードの作業は、以下のように進めます。芝生を一年中緑に保つためには、適切なタイミングと手順で行うことが重要です。

3.1 オーバーシード前の準備

オーバーシードを行う適期は、9月下旬から10月下旬です。ただし、地域や天候によって若干の差がありますので、最適な時期を見極めることが重要です。

1. 芝刈り

まず、既存の夏芝を1cm未満に短く刈り取ります。短く刈ることで、冬芝の種が土壌に直接触れやすくなり、発芽が促進されます。

2. サッチの除去

芝刈りの際に発生した刈りかす(サッチ)をしっかりと取り除きます。サッチが残っていると、種が土に密着せず、発芽率が低下する原因となります。

 

3.2 オーバーシード作業

1. 播種(はしゅ)

次に、冬芝の種を均等に撒きます。標準的な播種量は35g/㎡です。種を均等に撒くことで、発芽ムラを防ぎ、均一に芝が生えるようにします。

2. 目土

播種後には、目土を撒いて種を保護します。目土の厚さは3~5mm程度が理想的です。目土としては、生分解性のBLパウダーが推奨されており、5ℓ/㎡の量を均一に撒くと良いでしょう。

3. 潅水

播種後、種が発芽するまでの約1週間は、常に土が湿っている状態を保ちます。水やりを忘れると発芽率が低下するため、自動潅水装置があれば便利です。この間は、芝生を踏まないように注意しましょう。

 

3.3 追い蒔きと施肥

1. 追い蒔き

約2~3週間後に芝が生え揃いますが、発芽ムラがある場所には再度種を撒く追い蒔きを行います。

2. 施肥

追い蒔きの際には、芝生の成長を促進するために、NPK(窒素、リン酸、カリウム)等量肥料を施します。NPK10-10-10の場合、1㎡あたり50~100gの肥料を与え、窒素の量が5~10g/㎡になるように調整します。

 

3.4 芝刈りと追肥

1. 芝刈り

芝が5cm程度に成長したら、芝刈りを開始します。根がまだ十分に張っていないため、丁寧に刈ることが大切です。

2. 追肥

最初の種まきから約1ヶ月後に、再度NPK等量肥料を施します。量は前回と同じく、NPK10-10-10を1㎡あたり50~100g施します。

3.5 完成

芝が生え揃えば、オーバーシードは完了です。適切な管理を続けることで、冬でも美しい緑の芝生を楽しむことができます。

 

4. トランジション(春の切り替え作業)

春になると、冬芝から夏芝への切り替え作業が必要になります。これをトランジションと呼び、冬芝を徐々に取り除き、夏芝を再び成長させる作業です。

4.1 冬芝の刈り取り

4月頃、冬芝を1cm以下の高さに刈り取ります。これにより、夏芝の成長を促進し、徐々に冬芝を減らしていきます。

 

4.2 夏芝の管理

夏芝の成長が始まったら、定期的に水やりと施肥を行い、芝の密度を高めていきます。夏芝の管理も、オーバーシード同様に丁寧な手入れが必要です。

 

5. オーバーシードのメリット

5.1 年中緑の芝生が楽しめる

最大のメリットは、一年中緑の芝生を楽しめることです。秋から春にかけては冬芝、春から秋にかけては夏芝と、季節に合わせた芝を植えることで、常に美しい景観を維持することが可能です。

 

5.2 芝生の密度が高まる

オーバーシードを行うことで、芝生の密度が高まり、雑草の発生も抑えられます。密集した芝は、地面を覆うことで土壌の露出を防ぎ、雑草が生える余地を減らします。

 

5.3 美しい芝生の景観が維持できる

オーバーシードを行うことで、季節を問わず美しい芝生の景観を維持できます。特に公園やゴルフ場、庭園などでは、常に緑の芝生が求められるため、この方法が広く採用されています。

 

6. オーバーシードの注意点

6.1 適切な時期に行う

オーバーシードは、適切な時期に行わないと効果が得られません。特に、9月下旬から10月下旬の期間が最適です。この時期を逃すと、冬芝の発芽が遅れ、年中緑の芝生を維持することが難しくなります。

 

6.2 定期的な管理が必要

オーバーシードを成功させるためには、定期的な管理が欠かせません。播種後の水やり、芝刈り、施肥を適切に行うことで、冬芝がしっかりと根付きます。また、春のトランジション作業も忘れずに行い、夏芝への切り替えをスムーズに進めましょう。

 

まとめ

オーバーシードは、夏芝と冬芝を切り替えることで一年中緑の芝生を維持する方法です。適切な時期に作業を行い、丁寧な管理を続けることで、美しい芝生を楽しむことができます。特にウインターオーバーシードを行うことで、秋から春にかけて緑の芝生を維持し、春にはトランジション作業で夏芝へと切り替えます。年中美しい景観を保つための重要なテクニックとして、ぜひオーバーシードを試してみてください。

 

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