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ハスの花を美しく咲かせる!9月までの施肥スケジュールを教えて下さい。

水辺に凛と咲くハスの花。その美しさに心惹かれ、育ててみたいと思われる方も多いのではないでしょうか。とはいえ、ハスは少しコツのいる植物。特に「施肥(せひ)」――つまり肥料の与え方を誤ると、葉ばかり育って花が咲かないということにもなりかねません。

今回は、ハスの花を美しく咲かせるために、3月から9月までの具体的な施肥スケジュールと、それぞれの時期に気をつけたいポイントを、実体験も交えながら詳しくご紹介します。

 

ハス栽培の基本と施肥の重要性

ハスはスイレンと似たような姿ですが、育て方には違いがあります。まず第一に覚えておきたいのは、「ハスは地下茎で増える多年草」であること。そして、植え付けから花を咲かせるまでにそれなりの時間と体力(栄養)が必要になるということです。

そのため、適切な時期に適切な肥料を与えることが、ハスを育てるうえで非常に重要なポイントになります。

ハスの年間施肥スケジュール(3月〜9月)

3月下旬〜4月:植え付けと元肥

ハスは気温が上がり始める3月下旬から4月頃が植え付けの時期です。このタイミングで土づくりと同時に「元肥(もとごえ)」を施します。

使用する肥料: 緩効性の有機肥料(油かす・骨粉など)またはハス専用肥料

施し方:

  • 植え付け前に、肥料を用土に混ぜ込む(量は商品記載に従う)

  • 肥料は根に直接触れないよう、土にしっかり混ぜ込む

元肥は栄養の基礎となり、芽吹きから成長初期にかけての大事なエネルギー源になります。

5月:芽吹きのタイミングで追肥スタート

芽が伸びてきて葉が展開し始める5月。ここからが追肥のスタートです。まだ気温は安定しきっていませんので、控えめな量で。

使用する肥料: 固形の化成肥料または緩効性の有機肥料(臭いが少ないもの)

施し方:

  • 鉢や容器の縁に少量ずつ(5g程度)置く

  • 肥料が水に直接溶け出さないよう、泥に埋める

※液肥はこの時期にはまだ使わないほうが無難です。水温が低いため吸収効率が悪く、藻が発生しやすくなります。

6月:生育旺盛期に本格的な追肥

葉がどんどん展開し、株に勢いが出てくる6月。いよいよ本格的な追肥が必要になります。

使用する肥料: 固形の有機肥料(骨粉入り油かすなど)または、ハス専用の追肥剤

施し方:

  • 月に2回、10〜15g程度を鉢の縁に分けて埋める

  • 複数株ある場合は、株ごとに均等に

6月の肥料は、7月以降の花芽形成に直結する非常に大切なポイント。ここで栄養が足りないと、葉ばかり茂って花が咲かなくなる「葉ばかり病」になることもあります。

7月:花芽形成と開花期の栄養補給

7月になると、いよいよ花芽が立ち上がってきます。ハスにとってはエネルギーを大量に使う時期。花芽が確認できたら、追肥のタイミングです。

使用する肥料: 即効性のある液体肥料(チッソは控えめでリンとカリが多めのもの)

施し方:

  • 10日おきに水替えのタイミングで液肥を希釈して与える

  • 鉢や容器全体に均一に行き渡るようにする

この時期に窒素成分が多い肥料を与えると、花芽よりも葉の成長が優先されるので注意しましょう。

8月:花の終わりと次の株への準備

8月になると、早い株では花が終わりを迎え、次の成長サイクルに向けてエネルギーを蓄える時期になります。

使用する肥料: 緩効性の有機肥料、または骨粉入り油かす

施し方:

  • 月に1回程度、鉢の端に少量ずつ与える(5〜10g)

  • 水温が高くなりやすいため、藻の発生や水の腐敗に注意し、様子を見ながら施肥量を調整する

8月の肥料は、来年の株の健康を左右する「地下茎の太り」に関わる重要な要素。少量でも効果的な肥料をしっかり使いましょう。

9月:肥料は控えめに、休眠準備へ

9月になると、ハスは休眠に向けて活動を徐々に緩やかにしていきます。この時期に施肥を続けると、休眠の準備が遅れてしまい、翌年の芽吹きに悪影響を及ぼすことがあります。

使用する肥料: 基本的には施肥を控えるか、行うとしてもごく少量

注意点:

  • 地下茎を太らせる目的で、9月初旬までに1回、緩効性肥料を控えめに与える程度

  • 液肥や即効性の強い肥料は使わない

秋が深まるにつれて、ハスは葉を落とし始めます。葉が黄色くなってきたら、施肥のタイミングは終了です。

ハスの施肥でよくある失敗と対策

よくある失敗1:窒素過多で葉ばかり茂る

花を咲かせたい気持ちから、肥料を多く与えすぎると、葉ばかり茂ってしまい逆効果です。施肥のバランスは「チッソ控えめ・リンとカリしっかり」が基本です。

よくある失敗2:水質悪化で根腐れ

水に直接溶けるタイプの肥料を大量に入れると、水が腐りやすくなり、根を痛めてしまう原因に。泥に埋めて使うか、定期的な水替えを忘れずに。

よくある失敗3:気温と水温を見ない施肥

気温が低い春先や、真夏の高温期に肥料の吸収がうまくいかないこともあります。気候の変化に敏感になりながら、植物の状態をよく観察しましょう。

まとめ

ハスの花を咲かせるには、日頃のお世話に加えて、施肥のタイミングとバランスがとても重要です。今回ご紹介したように、3月から9月までの間に施肥の目的と種類をしっかり見極め、丁寧に手入れすることで、気品あふれる美しい花を楽しむことができます。

また、ハスは年々株が充実していく植物でもあります。一年目に咲かなくても焦らず、じっくりと育ててみてください。毎年の積み重ねが、やがて大輪の花を咲かせてくれることでしょう。

あなたの庭にも、きっと素敵なハスの花が咲きますように。

 

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