よく聞くが今いち分からない。元肥(寒肥、春肥)と追肥、何が違いますか?
植物の育て方を調べていると、肥料の与え方として「元肥」「追肥」「置肥」「お礼肥」などの用語が出てきます。よく聞く言葉ではあるものの、何がどう違うのかわからないという方も多いようです。「元肥」と「追肥」にはどのような違いがあるのでしょうか。
元肥は「成長の基礎」となる肥料
元肥は植物が成長するための基礎となる栄養を補う目的で使う肥料で、植え付け前の「土づくり」の段階に土に混ぜ込む形で施します。
生育の始めから終わりまでを支える肥料ですので、元肥には長期でゆっくり効く「緩効性肥料」が使われ、牛糞、油粕、骨粉、腐葉土など土壌改良効果もある有機堆肥が利用されることが多いです。
また、果樹や低木など生育期間が長い植物は、春先以降に効果が出るよう冬に肥料を施したり、多くの栄養が必要になる春から秋にかけての成長を支えるために春先から初夏にかけて肥料を施したりします。
冬に行う場合は「寒肥(かんぴ、かんごえ)」、春に行う場合は「春肥(はるごえ、しゅんぴ)」と呼びます。穴を掘って土に埋めることがありますが、根が傷つくのを防ぐため土の上に撒くこともあるほか、植え付け後に施すため一般的な元肥とは施し方に違いがありますが、目的や与える肥料の内容は元肥と同じです。
追肥は植物の成長に合わせて使う
追肥は植物の成長に応じて必要な養分を補うために使う肥料です。即効性を期待して与えるため、液体肥料や化成肥料を使うのが一般的で、良い芽を出させるために与えるときは「芽出し肥」、花を咲かせたり収穫したりした後に与えるときは「お礼肥」など、与え方やタイミングなどで呼び方が変わります。
追肥の中でもゆっくり長く効かせたいというときは、肥料を土の上に置いて与える「置肥」にします。通常、追肥では即効性の高い肥料を使いますが、置肥の場合はゆっくり効く固形の緩効性肥料を使います。
ただし、土の上に置くという特性上、臭いが強い肥料や害虫が寄り付く原因になる有機堆肥は適していません。
まとめ
肥料は植物の健やかな成長のために欠かせない存在です。土の状態や植物の種類、成長度合い、目的などに合わせて必要な栄養を適切なタイミングと方法で与えることで花つきをよくしたり、収穫量を増やしたりできます。元肥と追肥の違いを知ることで、目的に合った肥料を選べるようになるのではないでしょうか。
また、市販されている肥料には「元肥向き」「追肥向き」などさまざまな種類がありますので、どの肥料を選べばよいか悩んだときは、園芸店のスタッフに相談して決めるとよいでしょう。